実行委員長あいさつ

日本体育学会第70回大会開催にあたっての挨拶

 

日本体育学会第70回大会は2019年9月10日(火)~12日(木)の3日間,
慶應義塾大学日吉キャンパス(神奈川県横浜市港北区日吉4-1-1)を会場として開催させていただくことになりました.

慶應義塾大学における日本体育学会大会は,1962年(昭和37年)以来実に57年ぶり2度目の開催となります.1858年の開学から160年を経る慶應義塾において日吉キャンパスは7学部・3大学院研究科と高等学校を有する教育の基点であり13,000余名が学んでおります.東急線と横浜市営地下鉄線の駅に直結する立地と創立150年を機に新装された校舎・施設で,全国から参加される会員の皆様をお迎えできることを喜ばしく思います.

本学会大会では,「学問とは実学,すなわちサイヤンス」をテーマとしました。慶應義塾の創始者である福澤諭吉は「学問とは実学,すなわちサイヤンス。これすべて人間交際のため」と述べました。実学とは単に“社会生活に実際に役立つ学問”とされることもありますが,福澤がいう実学はすぐに役立つ学問ではなく,「科学(サイヤンス)」を指します。つまり,実証的に真理を解明し問題を解決していく科学的な姿勢が「実学の精神」です。さらに「人間交際-じんかんこうさい」とはSocietyを指し,サイヤンスによって人と人とのつながり,社会のあり方がより良くならねばならないことが意図されています。

時が経ち現在,わが国で2019年ラグビーワールドカップ,2020年東京オリンピック・パラリンピック,2021年ワールドマスターズ関西大会という世界的なスポーツイベントが連続的に開催される運びであり,スポーツによる平和や共生の実現が世界から求められています。そこで,70回を重ねた日本体育学会は,築いてきた「科学(サイヤンス)」によって今こそ社会の課題と向き合い,体育・スポーツの社会的役割を明確に示していく必要があると考えます。本大会は,我々が人間交際を担うサイヤンス集団として,これから何を視野に持ち,国民や世界に何を発信すべきなのか共に考える場としたいと思います。

また,本大会の新たな企画として「領域横断セッション」を設けました.これは一般研究発表に加え,特定のキーワードを軸に領域を超えたポスターセッションを行うものです(詳細はp5を参照ください).領域を超えた討論と交流の場を持ち,専門領域に分化した研究を再び統合して体育学の発展を目指したいと考えます.新企画への発表も含め,会員皆様の多数のご参加を心よりお待ち申し上げております.

 

2018年12月1日

日本体育学会第70回大会組織委員会

委員長

石手 靖